お腹を膨らませる?凹ませる?体幹を安定させるためにどっちが良いのか

膨らんだ風船

 

体幹を安定させるためにはお腹を凹ませるのが良いのか膨らませるのが良いのかという疑問に真剣に向き合ってみます。

結論として『腹圧を上昇させればOK。凹ませるか膨らませるかは意識しなくて良い』となりましたが、気になる人は続きを見て下さい。

 

私は数年ジムに通っていて数種類のスタジオプログラムに参加していますが、お腹を凹ませながら(ドローイン)しながらエアロビのような運動を推奨している事にずっと疑問をもっていました。なんせ動きにくくて仕方がない。

インストラクターが言うには「お腹を効かせて脂肪燃焼」、「姿勢の改善」、「体幹の安定」など、ほかにも言っていた気がしますが忘れました。

全てが間違いだとは思わないのですが、お腹を凹ませながら動く事=体幹の安定になるとはどうしても思えないです。

 

ちなみにこのブログでも紹介しましたが、私はドローインを否定しているわけではないです。ドローインは腹横筋を使う感覚をつかむためには良いエクササイズだと思いますし、実際に先行研究や文献などでドローインをやっている時は腹横筋の活動量が増えるという事が証明されています。

関連記事:ドローインは腹横筋の感覚をつかむエクササイズです。

 

目次

お腹を凹ませながら運動する事は良いのか?

お腹をギュッと締める感覚なら〇ですが、無理にお腹を凹ませるのは✖

そもそもドローインは腹直筋や内外の腹斜筋に力を入れない事で選択的に腹横筋を働かせるエクササイズです。凹ませるというよりは締めるという感覚の方がしっくりきます。

下っ腹を締めるようにした結果、腹横筋が働いてお腹が凹むのであって、無理にお腹を凹ませても腹横筋を働かせる事にはなりません。

つまり、運動時に意識すべきはお腹を凹ませる事ではなく、下っ腹に力が入っている(腹圧が上がっている)事です。

※ドローインという運動を繰り返す事により腹横筋の使い方を学習する事で、運動時に腹横筋が働きやすくなります。動く時には他の体幹周囲筋と共同して腹圧を上昇させ、結果的に体幹を安定させる効果があります。

運動中に無理にお腹を凹ませるのは違うと思います。

 

まとめると、ドローインによって腹横筋を働かせる感覚をつかむ事で腹圧を上昇させる効果はあっても、無理にお腹を凹ませながら運動する事に意味はないという事です

 

 


では逆にお腹を膨らませれば体幹は安定するのか?

と、この話に入る前に腹圧の話をします。

 

腹圧について

この記事でも上の方に書きましたが、体幹の安定の話が出ると必ずと言って良いほど出てくる腹圧という言葉。この言葉の意味を知っておくことは体幹の安定を理解する上で大切です。

『腹圧とは腹腔内の圧力』です。

 

 

これだけだと「ん?」ってなりますよね。

 

腹腔とは横隔膜や骨盤底筋、腹横筋、背筋群(インナーユニット)に囲まれた空間の事です。

腹腔の図

腹腔

この腹腔は骨格的な支えがとても弱く、腰椎でしか支えられていません。そのため完全に脱力した状態(腹圧が低い状態)だと重力により腰椎が屈曲した姿勢(背中が丸まった姿勢)となってしまいます。

そこで主にインナーユニットと呼ばれる筋群が共同して働く事で、お腹に一定の張りを作り姿勢を安定させています。この張る力を腹圧と呼びます。

腹腔に風船が入っているとイメージしてもらえれば分かり易いと思います。姿勢が丸まろうとする時に風船が張って身体を支えるイメージです。

さらにインナーユニットは胸腰筋膜を介して腰椎とつながっており、腹圧が上がると屈曲しようとする腰椎に直接反対方向(伸展方向)に力を加えて支えます。

つまり、腹圧上昇によって

  1. 風船がお腹に入っているように潰れないよう支える
  2. 腰椎の伸展方向に力が掛かり背骨を支える

という機能があります。

激しい運動をしている時に、腹圧が低いと体幹や腰椎がグラグラになり腰痛を招きます。

 

お腹を膨らませればよいのか?

では本題のお腹を膨らませれば体幹は安定するのかという話です。

もう一度インナーユニットの図を見て欲しいのですが、お腹を膨らませた状態とは横隔膜が下がっている状態です。

この時、腹横筋は横に広がり骨盤底筋は下に広がろうとします。

ここで、広がらないようにグッと内側に締めるようにする事で腹圧が高まって体幹が安定します。

 

つまり、お腹を膨らませる凹ませるという事ではなく、内側にグッと締める力が大切という事です。

 

この感覚をつかむためにドローインというエクササイズをするわけですが、自分の感覚では息を吸ってお腹が膨らむ所を、へその下辺りにグッと力を入れて押さえる感じ(トイレでいきむ時の感じ)の方が分かり易いとは思っています。

そして、へその下辺りにグッと力を入れる感覚をつかめれば、運動時はお腹を凹ます、膨らますといった事はあまり意識しなくても良い

という事が言いたかったんです

 

補足

凹ます膨らますといった事は意識しなくて良いと書いたのですが、お腹を膨らます方が腰回りは固定されると考えます。

風船の例で考えると、お腹を大きく膨らまそうとして(横隔膜を大きく下げる)それをギュッと締める方が腹圧が高まるのがイメージ出来ると思います。

つまり、重い荷物を持つなどガッチリ腰回りを安定させる時にはお腹を膨らますくらいのイメージの方が安定感はあると思います。

しかし、走ったりする時には状況が変わります。

腹圧を上げ過ぎてガッチリ固定してしまうと体幹の回旋動作がスムーズにいきません。

場面に応じて動き易いように適度に締めるという事が大切になります。

 

まとめ

  1. お腹を無理に凹ませながら運動する事は意味がない
  2. 体幹の安定には腹圧の上昇が必要
  3. そのためにはへその下辺りにグッと力を入れる感覚をつかめればOK。
  4. 感覚をつかんだら、運動時にはお腹を膨らませたり凹ませる事に意識を向ける必要はない

 

以上です。

 

関連記事:お腹を膨らませる筋肉

 

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日本の北の方に住んでいる30代男性です。 趣味:身体を動かす事。 仕事:医療系。 属性:社畜。 嫌な事でも笑顔で「YES」と答える事で様々な難局を切り抜けてきた経歴を持つ。壁と同化して存在感を消す事で飲み会を一次会で切り上げる特殊技能「ステルス」を備えている。 そんな私は仕事上、身体に関わる事を日々勉強しています。 これまで学んできた事や自身の経験から、出来るだけ役立つ情報を発信すべく立ち上げたブログです。 趣味であり、仕事でもある運動をメインテーマに扱っていきます。 皆様の身体や運動に関する疑問を解決する糸口になれば幸いです。