本記事はドローイン、お腹を凹ませる運動の紹介となります。
ドローインの目的は、腹横筋というインナーマッスルを使う感覚をつかみ、最終的に日常生活動作や運動時に働かせるようにする事です。
そのため、動作時にすでに腹横筋が使えている方にとってはそれ程有効なエクササイズではないかもしれません。
腹横筋を鍛えるというイメージではなく、あくまで感覚を掴むためのものです。
目次
腹横筋を使っている時の感覚(自分の場合)
重いものを持つときに下っ腹(丹田ともいう)にグッと力を入れる時の感覚。
あとトイレで大をする時です。あの時は腹横筋を収縮させて腹圧をかけています。
スポーツなど運動する時は意識してお腹を凹ませるという事はしていません。動きにくいから。
「えっ?常にお腹凹ませるんじゃないの?」って思うかもしれませんが、
ドローインはあくまで感覚を掴むためのエクササイズです。
で、このエクササイズは見た目は地味で簡単なようですが実は結構難しいです。
トレーニングというと、どうしても頑張ってしまいがちなんですが、このドローインはどちらかというと積極的に頑張らないエクササイズです。
ドローンインは難しい
ドローインは腹直筋、外腹斜筋の活動が抑制されたなかで、腹横筋の活動量が最も大きくなる事が示されている
分節的な腰椎安定性を目的としたエクササイズでは高負荷なエクササイズを処方する必要はなく、30~40%の中等度のエクササイズで十分である
腰痛の病態別運動療法:金岡 恒治 編,(株)文公堂,2016年第1版発行
普通にお腹に力を入れると、アウターマッスルである腹直筋が活動します。
しかし、インナーマッスルである腹横筋を積極的に活動させるなら、アウターマッスルである腹直筋の力は抜かないとだめなんです。
全力の3割程度の意識で十分です。
腹横筋のはたらきとインナーユニット
腹横筋は体幹のコルセットとも呼ばれるインナーマッスルで、腹部を広く覆っている筋肉です。この腹横筋が収縮する事で腹部が絞められ体幹を安定させています。
ただ、人が動く時には腹横筋のみで体幹を安定させている訳ではなく、腹斜筋やインナーユニットと呼ばれる体幹の筋肉群の相互作用が大きく影響します。
インナーユニットは腹横筋、横隔膜、多裂筋、骨盤底筋の4つで構成されており、腹横筋はこのインナーユニットの1つです。
インナーユニット
ドローインは腹横筋のみに働かせるエクササイズのため、このエクササイズのみでは実際の動きに反映しにくく不十分かと思われますが、まずは腹横筋を使えている感覚を獲得する事が重要になります。
ドローインは慢性腰痛にも効果がある
腰痛者は、急激な四肢の運動に対し、先行的に腹横筋を活動させ体幹を安定する機能が十分でない
腰痛の病態別運動療法:金岡 恒治 編,(株)文公堂,2016年第1版発行
慢性腰痛の方は腹横筋が上手く機能していないという事が分かっています。
普段使われない筋肉は委縮してしまうため、腰痛者の体幹のインナーマッスルは委縮したり、左右で非対称になったりしています。その結果、姿勢の崩れや痛みを引き起こす一因となります。
そのため委縮した筋肉を健常に戻す事と普段の生活上で使えるようにする事は慢性腰痛に対して超重要なんです。
実践
この運動は腹直筋などアウターマッスルの活動を抑制し、腹横筋を集中して効かせる事が重要です。地味ですが結構難しいです。
やり方は
- あお向けで両ひざを立てる
- ゆっくりと息を吐いてお腹を凹ませる
とシンプルですが、頑張ってお腹を凹ませようとするとアウターマッスルの腹直筋が働いてしまうため、お腹を凹ませる意識はそれ程必要ではなく、ゆっくりと息を吐く事に意識を向ける方が大切です。
あと凹ませる場所ですが、みぞおち辺りではなく、下腹部(へその下あたり)を意識しましょう。そうすると腹横筋を働かせやすくなります。

ドローインのやり方
力を入れ過ぎている時によくある事
1.腰を反る(腰椎の前彎)
これは結構多いです。思い切り凹ませようとして腰を反ってしまう事です。この動きは腰痛を引き起こす恐れがあるためNGです。
2.背中を丸める
今度は逆にお腹を凹ませる時に背中を丸めてしまうというパターンです。この時はだいたい腹直筋に力が入っています。
3.肋骨が動く
人が呼吸をする時は肋骨、胸郭の運動(前後、左右)が伴います。大きく息を吸ったり吐いたりする時は肋骨は大きく動きます。
下の肋骨(みぞおち付近の肋骨)を触れてみて、明らかに動きが感じ取れる場合は凹ませ過ぎです。
ちなみに肋骨折った人は痛みで大きく呼吸が出来ません
力を入れ過ぎているか確認する方法
これを簡単に確かめる方法として背中に手を入れてお腹を凹ませるという方法があります。この時に背中(腰)が手から離れていってはダメです。
手に加わる圧が変わらないのが理想です。

ドローインが正しく出来ているか確認
応用。お尻を少し上げて骨盤底筋を使おう
ドローインに慣れてきたら少しだけお尻を浮かせてみましょう。こうする事でインナーユニットの骨盤底筋をはたらかせます。
骨盤底筋も30%程度の力ではたらくので、無理に力をいれる必要はないです。

ドローインで骨盤底筋を使う
お尻を上げて数秒キープします。回数は10回程度を目安に行います。
このままバックブリッジ(お尻上げ運動)にもっていくエクササイズもあります。バックブリッジは、インナーマッスルのみではなくアウターマッスルも併せて使っていくエクササイズで、より日常の動作に反映させ易くなります。
エクササイズの頻度は
基本的には毎日行うのが良いです。一般的な筋トレ(アウターマッスルに対する)は筋肉が回復する間は間隔を開ける必要がありますが(2~3日程度)、インナーマッスルのエクササイズは低負荷のため感覚を開ける必要はありません。
そのため暇な時や、ちょっと時間がある時などにやってみると良いと思います。
また、このエクササイズは腹横筋を使う感覚をつかむ事が目的なので、感覚をつかんだら、その他の体幹トレーニングにトライしてみると良いと思います。
まとめ
- 腹横筋のエクササイズとしてドローインを紹介しました
- ドローインは腹横筋を使う感覚を覚えるエクササイズ
- 腹横筋は体幹のインナーユニットを構成する一つの筋肉で、体幹の安定性には重要。
- ドローインは力を抜いてアウターマッスルの腹直筋を活動させない事が大切(全力の30%の力で十分)
- 腹横筋を使う感覚をつかんだら他の体幹トレーニングにも挑戦してみましょう
トイレで大をする時にはみんな腹横筋は使ってると思われますが、重いものを持ったりする時や運動時にとっさに使っていない事が問題なのかな?と個人的には思っています。
以上です
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