この記事は、筋トレをするにあたって知っておいて欲しい筋肉と神経のはたらきについて書きました。
筋肉の基本の話になるんですが、何事も基本は大切です。
目次
筋肉と神経の話
運動的な側面から言うと、筋肉は収縮するか(力が入ってる状態)弛緩するか(力が抜けた状態)の2つしかありません。収縮する事で関節を動かしたり、急な力が加わった時に関節を守ったり姿勢を制御したりしてくれています。
で、筋肉が収縮するためには運動神経の働きが必要になります。身体を動かそうとした時に、脳の運動野という箇所から電気信号が発生して、脳から脊髄に、さらに手足や体幹など身体の末梢部に電気信号が流れて筋の収縮(運動)が起こります。この電気信号は運動神経によって伝わります。
運動単位
筋肉は、細かくみると何本もの細い筋繊維が束になって一つの筋肉を作っています。ある筋肉に力が入る時、筋肉内の全ての筋繊維が働く訳ではなく、働く筋繊維と働かない筋繊維が出てきます。これは筋肉は何本もの運動神経が指令を出しており、動かすように指令を出している神経と、指令を出さない神経があるからです。ここで、1本の運動神経は多数の筋繊維を働かせていますが、この1本の運動神経と支配される筋繊維の事を運動単位と呼んでいます。

筋肉と神経
参考 運動療法学 総論 第3版、奈良 勲(監修):㈱医学書院,2010.
運動単位が大きいとは1本の神経が支配している筋繊維が多いという事を表し
- 速筋に多い。
- 粗大な運動。
- 大きな力を求められる時に活動する
運動単位が小さいとは1本の神経が支配している筋繊維が少ないという事を表し
- 遅筋に多い
- 巧緻な運動
- 細かい運動や姿勢の制御などで活動する
この運動単位は筋肉によって大小が変わります。上腕二頭筋など大きな力が求められる筋では平均的に運動単位は大きく、指など細かい動きをする筋は平均的に運動単位が小さくなります。
サイズの原理
筋肉が活動する順番には法則があります。筋肉が活動する際には、まず小さな運動単位が活動し、負荷が大きくなると大きな運動単位も活動し出すという法則です。これをサイズの原理と呼びます。
例えば、手の平を上に向けた状態で1kgのダンベルを持つ時、肘を曲げていくと上腕二頭筋が活動します。この時、上腕二頭筋の中でも運動単位の小さなものが働き出しますが、大きな運動単位は働きません。1kgなら大きな運動単位を使わなくても持てるからです。これが10kgの重りだと、小さな運動単位(主に遅筋)が働くだけでは持てないため、大きな運動単位(主に速筋)も働き始めます。人の身体は効率的に最小限の力で筋肉を動かすようになっています。
筋トレはサイズの原理で考える
筋肥大を目的とした筋トレに高い負荷が必要なのは、速筋を働かせる(=筋肉内の大きな運動単位を働かせる)必要があるからなんです。逆に姿勢を良くするためのインナーマッスルトレーニングは低負荷(小さな運動単位)で十分という事になります。
具体的に筋肥大を狙うためには最大負荷を100%とした時、75%の負荷量は必要となっています。11kgは持てないけど10kgなら持てるという方は、少なくても7.5kgでトレーニングをする必要があるという事です。それ以下の負荷量になると、主に筋持久力を向上させるのに適したトレーニングという事になります。(筋肥大の筋トレはメッチャきついです。筋肉が悲鳴をあげます。)
ただし、これは一般的な条件下での話で、加圧トレーニング(圧迫により血流(酸素供給)を制限し選択的に速筋を働かせる)など特殊な条件下は除きます。また、遅筋を疲労困憊まで追い込めば、軽い負荷でも速筋が働くため筋力アップするという事が分かっています。
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