スロートレーニングって何なの?っていう方に向けて、効果や実践する上でのポイントをお伝えします。
筋トレをするなら知っておいて欲しい事ですが、筋力アップや、ダイエット中の筋肉量維持のためには速筋を動員させる事が重要です。
そのための方法としてスロートレーニングの概念は絶対に抑えておいた方が良いです。
目次
スロートレーニングとは
普通の筋トレをただゆっくり行う事です。
上にも書きましたが、トレーニングで筋肉を肥大(筋力向上)させるには速筋繊維を働かせる事が重要です。そのため最大筋力の70~80%の負荷量でトレーニングする事で速筋を働かせる事が従来行われてきたわけです。
スロートレーニングは自重などの低負荷でも、高負荷でトレーニングした時と同等の効果があるのが最大の利点です。
筋は、最大筋力の30~40%程度の力を発揮すると、収縮による内圧の上昇によって、筋中の血液の流れが減少します。
素早く動くと筋は一瞬ゆるみ、血液がすぐに流れてしまいます。あえてゆっくり動くことで持続的に力が発揮され、筋の緊張状態が保たれ、血流が制限されるというわけです。
スロートレーニングでは、最大の30%の負荷強度でも筋肥大が起きることがわかっています。
参考 運動に関わる筋肉のしくみ p122:石井直方,新星出版社
つまり、持続的に筋肉を収縮して一時的に筋肉への血流を制限して筋肉を酸欠状態にする事で、低負荷でも遅筋の変わりに速筋が使われる事を利用したトレーニングです。
高負荷を扱う事なく出来るので安全です。
最大の30%の負荷強度なら、スクワットや腕立てなどほぼ自重で可能です。
目安としては以下
「最大の40%の低負荷でスロートレーニングを行うとかなりの筋肥大がおきる」
「3ヶ月で10%位筋肥大した」
Sportsmedicine 2006 No.84 石井直方
だそうで、自重でのトレーニングでも筋力向上が見込めます。
実際に行う上でのポイントは
- 関節を伸ばし切らない(筋肉を一瞬でも休ませると血液が流れてしまい効果がない)
- 3~5秒かけて関節を曲げていき、3~5秒かけて戻していく(この時、関節を伸ばし切らない)
- 回数に関しては明確な決まりはありませんが疲れるまで。
トレーニング中は常に筋肉を収縮させておくというのが重要という事です。
3に関してですが、継続していると10回程度では疲労しなくなってきます。筋肉が収縮し血流がある程度制限されるには最大の30%程度の負荷量が必要ですが、筋力がついてくると自重では負荷量が足りなくなってしまい効果は薄れてしまいます。
そのため、ある程度慣れてきたら回数を増やしたり、重りを使って負荷量を増やすなどの工夫が必要になります。
成長期別のおすすめトレーニング
一般的に筋トレは高負荷で少ない回数行う方法で行われていますが、低負荷で多い回数行う事でも筋力向上が見込めます。また、スロートレーニングのように持続的に筋肉を収縮させる事で、低負荷で少ない回数でも同様です。
※低負荷でも疲れるまで続ければ速筋繊維が働く事が分かっています。
どれが良いかというのは賛否両論あるのですが、いずれにせよ効果を出すには疲れるまで行うというのがポイントです。
成長期別におススメのトレーニングとして筋トレ博士の石井直方先生は以下のように考えているそうです。
成長期までは「低強度×高回数」
成長期を過ぎたら「高~中強度×低回数」
中高年になったら「スロートレーニング」
日経Gooday 筋肉博士石井直方のやさしい筋肉学 第62回 2017/9/13
石井先生の話は本当にタメになります。要点をかいつまんで説明すると、
・低頻度×高回数は成長ホルモンの分泌が良くなるため成長期には向いている。
・高強度のトレーニングは瞬間的な筋力発揮を必要とする競技力の向上には効果が高いが、骨や関節に及ぼす力学的なストレスが高く、障害を起こし易いため身体が成長するまでは控えた方が無難。
・スロートレーニングは体力が低くても可能で、高齢者や一般女性にも有効。
という事です。
個人的にはスロトレは効果が高く、どんな年代でも向いているトレーニングと思うので、どんなトレーニングが良いですかって聞かれた時はスロートレーニングをお勧めしています。
スロートレーニングの利点と欠点
利点
- 比較的安全(高負荷は怪我のリスクがある)
- 自重で可能(ジム行ったりマシンが要らない)
- 短時間で効率良く鍛えられる
- 血圧上昇が抑えれる(高負荷トレに比べて)
ただ、欠点もあると感じていて、それは
- 明確な負荷量の数値が分からない
- 強制力がない
- 秒数設定が甘くなる
ジムでマシンやダンベルを使った場合には自分の限界が数値で分かるため適切な負荷量が決められ、回数の設定もある程度機械的に決められます。ただ、スロトレでは負荷量の設定は基本的には自分で決めるため曖昧になりがちです。また、辛くなると楽なフォーム、速い動作になりがちでイマイチ追い込めない事もあると思います。
ちなみに高負荷×低頻度での筋トレでも低負荷×高頻度での筋トレでもスロトレでも決して楽ではないです。
まとめ
- スロートレーニングとはゆっくり行う筋トレの事
- ゆっくり行う事で筋肉の持続的に収縮される。そのため血液の流れが制限され筋肉が酸欠状態になる
- そのため軽い負荷でも速筋が動員される
- トレーニングでは筋肉を休ませない事がポイント
- 慣れてきたら負荷量が軽くなりすぎるので重りを使うなど工夫が必要
- スロートレーニングはメリットが多く万人におススメできる
家で腕立て伏せやスクワットを100回やったとか、回数に焦点を当ててしまうと効果が薄れてしまいがちです。
20回でも30回でもしっかりと筋肉に効かせられているのかを意識する事が重要です。
そのため、もし家で漠然と筋トレを続けている方や、これから筋トレを始めようと思っている方は、是非スロートレーニングの概念を取り入れてみて下さい。
という訳で終わります。
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