この記事は非特異的腰痛(原因の分からない腰痛)についての対処法を、発症からの時期別に分けて書きました。
内容は2011年理学療法ガイドライン第一版に記載されている腰部痛に関する推奨グレードの高いものを参考にしています。ちなみに第2版は2020年に改訂予定で、2011年度版が最新です。
ガイドラインは今まで世に出てきた文献や報告を集めて、治療の妥当性などを統計的に評価したもので、科学的根拠が強いと言えます。ざっくりとした方針ですが何かしらの参考にできたらと思ってまとめました。
このガイドラインは、内容が結構分厚くて難しいです。そのため表現を変えて引用しています。細かな点など若干相違があるかもしれませんがご了承下さい。
でもまずは整形外科に受診するのをオススメします。そこで原因がはっきりしない時に参考にしていただけたらと思います。
目次
急性期(発症~4週)の腰痛について
急性腰痛での運動療法の効果は明確ではない。
脊柱安定化運動に対しては除痛や機能回復の効果がみられる
マッケンジー体操も有効
温熱療法は除痛効果があるが、寒冷療法にはない
※脊柱安定化運動 ⇒ 体幹のインナーマッスルを使えるようにする運動(痛みのない範囲で)
※マッケンジー体操 ⇒ 主に腰の筋肉に力を入れないで背骨の運動をする体操。
この頃は腰の痛みが強くあまり活動は出来ないですが、無理しなければ徐々に痛みが治まってくる事が多いです。
亜急性期(4週~3カ月)の腰痛について
亜急性期の腰痛に対しては段階的な運動療法は疼痛や機能回復の効果に有効
温熱療法は除痛効果があるが、寒冷療法にはない
慢性期(3カ月~)の腰痛について
ストレッチングは他の療法に比べ最も疼痛を軽減させる
エアロビクスなどフィットネスは機能改善に有効
脊柱安定化運動も有効
腰椎の運動を伴うダイナミックな運動は有効
マッケンジー体操は普通の運動療法と効果に差がない
ヨガも一般的な運動療法と比べ差がない
運動の頻度や期間に関する効果は明確ではない
腰背部筋の伸展トレーニングは、疼痛、身体認知、心理的機能の改善に有効
まとめると、ストレッチや運動は良いですよという事です。ストレッチは痛みの出ない範囲で行うのが原則です。無理に伸ばそうとしてかえって痛みが悪化するという事もあるため程々を意識する必要があります。
フィットネスや腰椎の運動を伴った体操などもオススメされていますが、こちらもあくまで痛みの出ない程度にやるのが原則です。ヨガなども一般的な運動と同様にオススメされていますが、本人にとって無理な姿勢はやるべきではないです。
背中の筋肉を鍛える事は勧められており、同様に腹部のインナーマッスルを使う事も推奨されています。
このインナーマッスルですが、鍛えるというより使えるように意識するという方が正確だと思います。腹筋運動をするとアウターマッスルの腹直筋が働きますが、内部のインナーマッスルが上手く効かせられないという事もあり、結構難しいです。また、エクサイズで出来るようになっても普段の動作の中でインナーマッスルを働かせるという事はかなり意識しないと難しいかと思います。
よくお腹を軽く凹ませながら動くとか、お尻を締めるとか軸(体幹)を伸ばす意識とか色々言われます。自分に合った方法で普段の動作に取り入れていくのが良いと思います。
まとめ
非特異的腰痛(原因のハッキリしないやつ)の現状の理学療法ガイドラインについてざっくりとまとめました。
急性期での運動療法は明確に効果がハッキリしている訳ではないが、脊柱安定化運動とマッケンジー体操は概ね有効(痛みのない範囲で)。
痛みが軽くなってくる頃に徐々に活動量を上げる事が良い。
慢性期の腰痛は積極的に運動するのが良いが、痛みの伴わない範囲で行うのが原則。
以上になりますが、大枠として整形外科から発行されているガイドラインと類似しているところが多いです。
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