握力は全身の筋力と正の相関があります。
つまり握力が強いほど全身の筋力も高い傾向があるという事です。
ただし、私がこれまで見てきた文献や報告は、主に中高年以降の統計の話なので、10代~20代には当てはまらないかもしれません。
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握力と全身の筋力
2004年のある報告によると、高齢者(80歳前後)で握力が弱い群(10kg程)と強い群(23kg程)、中間の群(17kg程)に分けたところ、1日の歩行量に大きな差がある事が分かったそうな
握力(平均) | 1日の歩行量(平均) |
10kg程 | 2835歩 |
17kg程 | 3599歩 |
23kg程 | 6479歩 |
この手の報告は結構見かけます。
握力と活動量はかなり関係しているという事が分かっています。
また、活動量が多い人は体脂肪率が低い(全身の筋力が高い)事も示されています。
なので、加齢による全身の筋力低下を簡易的に測るために握力測定がよく使われます。市でやってる健康チェックとか高齢者の体力測定とかでは必須と言って良いくらいです。
また、信頼性の高さからサルコペニア(筋力減少)の診断基準にも使われています。
関連:握力で使う筋肉
握力はなぜ弱くなる
上記のような報告から、握力が弱くなるのは
特別に鍛えている人でない限り日常的に手(指や手首や前腕など)をどれだけ使っているかだと言えます。字を書くとか手で荷物を持つとか庭仕事とか家事全般など。
活動量が多いという事は、手の筋肉を使う機会が多いという事ではないでしょうか。
握力と健康の関係
2015年のカナダの大学の追跡調査によると、35~70歳の男女約14万人の握力を4年間にわたり測定したそうな。
結果として握力が5kg低下するごとに死亡率が16%上がったとの事。何らかの心疾患のリスクが17%、心筋梗塞リスクが7%、脳卒中リスクが9%上がったと。
確か日本の追跡調査でも同じような結果になっていたと思う。
ただ、何で握力が死亡率と関係するのかは分かっていないというのが現状です。
私が思うに握力を鍛えているから寿命が延びたというより、全身的な活動量が多いから握力も高くなり、全身的な活動量が多いから病気のリスクも下がってるんではないかと思います。
確かに握力を鍛える事で手への血流は良くなるのは間違いないけど、健康を考えるなら握力のみに特化するより全身的な活動量を維持する方が良いかと。
関連:握力の平均値(年齢別)
初めまして、いきなり失礼します。質問があります。
握力の実際の追跡調査の文献があればいただきたいです。あと中高年とは35歳から70歳という解釈でよろしいでしょうか。
鳥海靖弘様
報告では35歳~70歳の調査となっていますのでその解釈で良いと思います。
ただ、私が見た日本での調査報告は高齢者のみとなっていました。
そして、申し訳ありませんが文献を当ブログ上にアップする、またはPDFファイル等で送付するなどは考えていません。