有酸素運動をすると筋肉が落ちると心配で取り組めない方もいるかと思います。
そんな方に私の知り得る限りの知識をお伝えします。
結論としては、有酸素運動自体で筋肉は減りません。しかし、どんな方法であれ体重が落ちると筋肉は減ります。
少し長くなりますが詳しく説明していきます。
目次
筋肉は分解と合成を繰り返している
実は有酸素運動に限らず、生きていると筋肉は分解されます。
これは筋肉だけではなく、骨などもそうです。
しかし、分解された筋肉は再び合成されて元の筋力、筋量を維持しています。
今までと同じ活動量を維持して、同じように栄養を摂っていれば体重、筋肉量が変わる事はありません。
有酸素運動自体で筋肉は減らない
有酸素運動をした場合、ただ体内の糖(炭水化物)と脂肪をエネルギーとして消費しているだけです。ここには筋肉の増減という概念は入ってきません。
筋肉を使った場合には分解が促進されますが、ちゃんと栄養を摂れば筋肉が合成されて元の量に戻るからです。
ここで、筋肉に一定以上の負荷量を与えた場合には分解よりも合成する方が多くなり筋量、筋力が上がります。これは、過大な負荷に耐えられるように身体をより強くする機構が働くためです。もちろん、栄養と休養をしっかりとる事が前提です。
長期間の有酸素運動で代謝量が落ちる
少し本題とずれますが、有酸素運動と筋肉の代謝量の話をします。
長期間の有酸素運動により速筋が遅筋化する事で筋肉の熱産生が落ちる⇒代謝量が落ちる=太りやすい体質になるという話を聞いた事があるかもしれません。
これは研究により真実という事が分かってきています。
※遅筋は速筋に比べ平常時の熱産生量が少なく、遅筋は長時間の運動に耐えられるように無駄なエネルギーを消費しないように出来ているようです。
が、成人の1日の代謝量は1600~3000kcal(活動量や性別によって全然変わります)で、筋肉1kgにつき15kcal/日 程度の代謝量です。仮に2~3kg程度筋肉が増えても50kcal/日程度です。
速筋が遅筋化したところで、1日全体の代謝量からみたら誤差みたいなもんです。あと1kgの筋肉って相当な量です。
体重を落としていくと筋肉量は減る
本題に戻りますが、どんな方法であれ体重を落としていけば筋肉量は落ちます、これはほとんど例外なく。筋トレをしていても、体重が落ちれば筋肉は減ります。ただ、落ち幅は緩やかになりますが。
体重60kg、体脂肪20%の人が有酸素運動で5kg落としたとします。この5kgは全て脂肪ではなく筋肉も含まれているという事です。そういう意味で有酸素運動をして体重が落ちると筋肉は落ちますが、体重そのものが落ちるので、動く時に必要とされる筋肉量は減ります。つまり動きやすくなる、もしくは体力的に疲れにくくなります。
上記の例で、体脂肪率が16%になったとします。元々が60kgの体脂肪20%なので、脂肪は12kgとなります。ここから5kg落としたと考えると、
脂肪kg = 体重kg×体脂肪率 / 100 なので、
脂肪kg =(60-5)×16 /100≒ 8.8kg となります。
つまり、脂肪は12-8.8 = 3.2kg 落とした事になります。
5kgの内、3.2kgの脂肪を落とした事になりますが、その他として筋肉も落ちています。運動の強度が高くなれば(筋肉を酷使すれば)、筋肉の減少する割合は減りますが、総じて体重の減少分に見合った筋肉量の減少がおきます。
栄養不足での有酸素運動
極端な栄養不足の状態で有酸素運動をするとどうなるかという話です。
栄養不足の状態が続けば、有酸素運動をしていなくても筋肉は減っていきますが、さらに加速していきます。
筋肉を動かすエネルギーは糖と脂肪です。脂肪はほとんど無尽蔵に体内に貯蔵されていますが、糖は貯蔵できる量が限られています。そして、有酸素運動ではエネルギー源として脂肪のみを使うという事は出来ません。脂肪を使う時には必ず糖も使っています。脂肪を燃やすのに糖を使っているというイメージです。
ここで、脂肪を燃やす糖が枯渇してしまった時はどうなるかというと、筋肉を分解して(筋肉はたんぱく質です)たんぱく質を糖の代わりに使うようになります。つまり筋肉の分解が加速されます。
ただ、この後に糖とたんぱく質をしっかりと摂っていれば筋肉は再び合成されるのですが、慢性的に栄養不足だと筋肉が合成されない状態が続きます。つまり筋肉が減少していきます。
これが、過度な食事制限をした時に有酸素運動が推奨されない理由です。
筋トレと食事制限ダイエット
また本題とは少しずれますが、筋トレ+食事制限ダイエットの話をします。
このダイエットは食事制限で体重を落とします。体重が落ちるので比例して筋肉も衰えるところを筋トレで最小限にします。
このダイエットは理論的には筋量を出来るだけ維持するための糖とたんぱく質を補給しておいて(余って脂肪にならない程度に)、日常生活の活動で脂肪を消費するようにしているハズです。大事な事は糖とたんぱく質を余らないように、かつ不足しないように補う事です。特に糖はエネルギー源として枯渇しないように小まめにチャージする必要があると考えます。
豆知識として、脳のエネルギー源は糖分のみになります。糖が枯渇する事は生命維持の点から死活問題になります。脳へのエネルギー供給は減らせないので、手足に回すエネルギーをたんぱく質で補うために筋肉を分解してたんぱく質をつくります。
しっかりと管理出来れば、目ざましく体脂肪が減少し細マッチョ的な体に仕上がると思いますが、中々難しいと思います。継続するのが。
世の中の痩せたいっていう人は、一時的ではなく永続的に痩せたいと願っているはずなので、この方法はかなり難易度が高いと思います。
ダイエットの目線から見た有酸素運動の位置づけ
体重を落とすだけなら食事の管理が一番大切です。正直、筋トレや有酸素運動によるカロリー消費はかなり少ないです(100km走って1kgの脂肪が落ちる程度)。
ただ、食事制限のみだと筋力と筋持久力(体力)も落ちていきます。その状態だと動くのがしんどくなるため日常生活での活動量も落ちる事が予想されます。
食事管理に運動を合わせると何もしない状態より楽に動けるという事です。
結局のところ、求めるところによって適した取り組みは変わってきますが、総じて有酸素運動は良いと言えます。
ただ、もしムキムキマッチョを目指すなら有酸素運動はあまり効果がないです。
細マッチョを目指すなら、有酸素運動だけでなく、ある程度の筋トレも必要です。もしくは有酸素運動の負荷を上げて、無酸素運動付近で行う。筋肉の付きやすさは遺伝的な要素もあるため一概には言えませんが、有酸素運動のみでは限界はあります。
運動のパフォーマンスを上げたいという方は、有酸素運動に無酸素運動を混ぜた高強度のトレーニングを入れる必要があります。筋力や筋持久力、心肺機能を鍛える事を第一に考えます。結果として体重は落ちていくはずです。
あと、かなり肥満で運動すると膝や腰に負担が掛かるという方は、ストレッチや水中ウォーキングなど関節に負担のかからないものから始めます(ストレッチは真面目にやるといい運動になります)。
同じ有酸素運動の強度を続けていても効果は薄れる
運動を習慣化していない人は軽い有酸素運動をしているつもりでも、本人にとっては高強度の運動になっているため筋トレ的な要素にもなり、ガンガン体脂肪は落ちて筋肉は維持されます。しかし、同じ強度で継続していると、筋力がつく事により負荷が軽くなってしまいます。つまり、同じ運動を続けると、その運動で消費するカロリーは少なくなります。
その状態を維持したいなら問題ないのですが、さらに体重を落としたいと考えるなら、負荷量は定期的に上げる必要があります。
おわりに
有酸素運動自体では筋肉が落ちないけど、何であれ体重が落ちれば筋肉は減るという話でした。
ダイエット時の筋トレは筋肉の維持に役立ちますが、有酸素運動は特に筋持久力が維持、向上するため日々の活動が楽に感じるのが最大の利点と考えます。
迷ったら有酸素運動を始めましょう。って言いたかったんです。
この記事が誰かの役に立ちますように
以上です。
関連記事①:有酸素運動を続けると太りやすい体質になるんじゃないかという疑問に答える
関連記事②:有酸素運動を20分以上続けないと脂肪燃焼しないは言い過ぎ
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